第1章 物理
⑤熱量と比熱
重要ポイント
温度のセ氏(℃)とケルビン(K)のあらわしかた。
物質を温めるのに必要な熱量(熱エネルギー)の計算。
熱量
熱エネルギーの量を『熱量』という。
単位はJ(ジュール)またはkJ(キロジュール)で表す。
1KJ=1000J
『温度表示の種類』
温度の表示には、『セ氏温度(℃)』と『ケルビン(K)』がある。
ケルビン(K)は絶対温度と呼ばれる単位で、セ氏ー273℃を0度としたときの温度。
- セ氏温度(℃)・・・1気圧のもとで氷の融点を0℃、水の沸点を100℃としてその間を100等分する。
- 絶対温度(K)=セ氏温度+273
温度が1℃上がると絶対温度も1K上がるので、セ氏0℃のときは絶対温度は273Kになる。
セ氏-273℃=0K
セ氏0℃=273K
温度が低下して、ー273℃になると分子運動が停止する。物質の温度はー273℃以下にはならない。これを絶対0度(0K)という。
比熱
物質1gの温度を1℃(または1K)上昇させるのに必要な熱量を『比熱』という。
単位はJ/(g・℃)またはJ/(g・℃)。
比熱J/(g・℃)=熱量(J)÷(質量(g)×温度差(℃またはK))
たとえば、
10gの物質の温度を10℃上げるときに200Jの熱量を使ったとしたら、
熱量200J÷(質量10g×温度差10℃)=比熱2J/(g・℃)
になる。比熱は、
- 比熱の小さい物質ほど温度変化に必要な熱量が小さいため、温まりやすく冷めやすい
- 比熱の大きい物質ほど温度変化に必要な熱量が大きいため、は温まりにくく冷めにくい
という性質を持っている。
たとえば、
水の比熱は4.2J/(g・℃)であり、水の1gの温度を1℃上げるには4.2Jが必要。
それに対して、食用油は比熱が0.51J/(g・℃)であり、食用油1gの温度を1℃上げるには0.51Jでよい。
つまり、比熱の小さい食用油のほうが温まりやすいといえる。
熱容量
物質全体の温度を1℃(または1K)上げるために必要な熱量を『熱容量』という。
単位はJ/℃またはJ/K
熱容量をC、比熱をc、物質の質量をmとする。
C(熱容量)=m(物質の質量)×c(比熱)
たとえば、
質量が30gで比熱が、3J/(g・℃)の物質の熱容量は、
30g(質量)×3J/(g・℃)=90J/(℃)(熱容量)
になる。
- 比熱は物質1gの温度を1℃上げるのに必要なエネルギー
- 熱容量は物質全体の温度を1℃上げるのに必要なエネルギー。
熱量の計算
熱量はQ(J)で表す。
熱量Q(J)=比熱×質量×温度差
たとえば、
物質の質量が30gで比熱が3J/(g・℃)の物質の温度を20℃上げるのに必要な熱量は、
比熱3J/(g・℃)×質量30g×温度差20℃=1800Jまたは1.8kJ
となる。
まとめ
『絶対温度』
- セ氏ー273℃=0K
- セ氏0℃=273K
- 物質はー273℃になると分子運動が停止し、それ以上温度は下がらない。これを絶対零度という。
『比熱と熱容量』
- 比熱とは物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量
- 熱容量とは物質全体の温度を1℃上げるのに必要な熱量
- 比熱と熱容量が小さければ温まりやすく、冷めやすい。
- 比熱と熱容量が大きければ温まりにくく、冷めにくい。
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