第3章 燃焼及び消火に関する理論
②燃焼範囲・引火点・発火点
重要ポイント
可燃性蒸気が燃焼するために必要な濃度範囲
物質に引火する条件
物質自体が発火する条件
燃焼範囲
可燃性蒸気が燃焼する濃度の範囲を燃焼範囲という。可燃性蒸気が燃焼範囲にあり、さらに点火源にあると燃焼する。
燃焼範囲は蒸気によって違い、濃度が濃い限界を上限値、薄い限界を下限値という。上限値、下限値を超えると燃焼は起こらない。
可燃性蒸気の濃度は、下記の式で表され、単位はvol%。
可燃性蒸気(vol%)=蒸気の体積(ℓ)÷(蒸気の体積(ℓ)+空気の体積(ℓ))×100
たとえば、
ガソリンの燃焼範囲は1.4~7.6vol%であり、蒸気の濃度がこの範囲にある場合のみ燃焼する。
このとき、燃焼範囲の下限値は1.4で、上限値は7.6になる。
可燃性蒸気の濃度が下限値よりも小さくても、上限値よりも大きくてもガソリンは燃焼しない。
つまり、燃焼範囲が広ければ広いほど燃焼する可能性が高くなるので、より危険んになる。
主な危険物の燃焼範囲。
危険物 | 下限値 | 上限値 |
ジエチルエーテル | 1.9 | 36 |
エタノール | 3.3 | 19 |
ガソリン | 1.4 | 7.6 |
灯油 | 1.1 | 6.0 |
軽油 | 1.0 | 6.0 |
引火点
点火したとき、混合気体が燃えだすのに十分な濃度の可燃性蒸気が液面上に発生するための最低の液温を引火点という。引火点は、燃焼範囲の下限値に達したときの液温でもある。
たとえば、
ガソリンの引火点はー40℃以下である。
ガソリンはー40℃以下で、燃焼範囲の下限値である1.4vol%になり、火を近づけると引火する。
引火点=燃焼範囲の下限値
燃焼範囲が広くなるほど引火しやすく危険であるのと同じように、引火点が低くなるほど引火しやすく危険といえる。
温度が引火点に達していても、点火源がなければ燃焼することはない。
発火点
可燃物を加熱したとき、点火源がなくても物質自体が発火して燃焼する最低の温度を発火点という。個体、液体、気体のいずれも発火点で燃焼する。
どの物質でも、発火点は引火点より高い。
引火点と同じく、発火点も低いほど燃焼しやすく危険。
おもな危険物の引火点と発火点。
危険物 | 引火点(℃) | 発火点(℃) |
ガソリン | ー40 | 約300 |
灯油 | 40以上 | 220 |
軽油 | 45以上 | 220 |
まとめ
可燃性蒸気の濃度(vol%)=空気中に含まれる可燃性蒸気の割合
燃焼範囲・・・可燃性蒸気が燃焼する濃度の範囲
燃焼範囲内で、点火源があれば燃焼する
引火点・・・燃焼することができる濃度の可燃性蒸気が発生するときの液温
燃焼範囲の下限=引火点。+点火源で燃焼する。
発火点・・・物質自体が燃えるときの温度。点火源はいらない。
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