第5章 危険物の性質
③指定数量と倍数
重要ポイント
- 危険物の取り扱い方の基準を、数量で決めている
- 危険性が高いものは数量を少なく、危険性が低いものは数量を多く管理する
指定数量
危険物取扱いの規制の基準となる数量を『指定数量』といい、指定数量以上の取扱いには消防法の規制を受ける。
一方、指定数量未満の場合は、市町村が定める条例によって規制される。
指定数量を超えるということは、危険物を取り扱う量が増えるため、より危険性が高くなる。そのため指定数量を超える場合は、消防法という国の法律で規制して、指定数量を超えない場合は市町村の条例で規制する。
指定数量は危険物の種類ごとに、その危険性によって定められている。
危険性が高いものほど指定数量が少なめで、水溶性より非水溶性の方が危険なので、非水溶性の指定数量は水溶性の半分になっている。
『非水溶性危険物の特徴』
- 水に溶けない:水と混ぜても分離し、水面に広がる
- 比重が小さい:多くの場合は水より軽く、水面に浮く
- 延焼しやすい:水面に広がって火災拡大の可能性
第4類危険物の指定数量
品名 | 性質 | 物品 | 指定数量(ℓ) |
特殊引火物 | ジエチルエーテル | 50 | |
第1石油類 | 非水溶性 | ガソリン | 200 |
水溶性 | アセトン | 400 | |
アルコール類 | メタノール | 400 | |
第2石油類 | 非水溶性 | 灯油、軽油 | 1000 |
水溶性 | 酢酸 | 2000 | |
第3石油類 | 非水溶性 | 重油 | 2000 |
水溶性 | グリセリン | 4000 | |
第4石油類 | ギヤー油 | 6000 | |
動植物油類 | アマニ油 | 10000 |
指定数量の倍数
貯蔵または取扱う危険物の量が、その危険物の指定数量の何倍であるかを表す数値を『指定数量の倍数』という。
この倍数が1を超える場合、消防法による規制を受けることになる。
たとえば、
取扱うガソリンが1000ℓの場合。ガソリンの指定数量は200ℓなので、指定数量の5倍のガソリンを取扱うため、消防法によって規制される。
取扱いが100ℓならば0.5倍なので、市町村条例に規制を受ける。
また、危険物を数種類扱っている場合は、それぞれの危険物の指定数量の倍数を足して、どのように規制を受けるかを決める。
たとえば、取扱いが
- ガソリン(指定数量200ℓ)100ℓ
- 灯油(指定数量1000ℓ)600ℓ
ガソリンは100(数量)÷200(指定数量)=0.5
灯油は600(数量)÷1000(指定数量)=0.6
0.5+0.6=1.1なので1を超えるので消防法による規制を受ける。
まとめ
最低限この物品の指定数量は覚えておこう。
品名 | 性質 | 物品 | 指定数量(ℓ) |
特殊引火物 | ジエチルエーテル | 50 | |
第1石油類 | 非水溶性 | ガソリン | 200 |
水溶性 | アセトン | 400 | |
アルコール類 | メタノール | 400 | |
第2石油類 | 非水溶性 | 灯油、軽油 | 1000 |
水溶性 | 酢酸 | 2000 | |
第3石油類 | 非水溶性 | 重油 | 2000 |
水溶性 | グリセリン | 4000 | |
第4石油類 | ギヤー油 | 6000 | |
動植物油類 | アマニ油 | 10000 |
数量÷指定数量=1以上なら消防法。1未満なら市町村条例の規制になる。
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