第5章 危険物の性質
④特殊引火物
重要ポイント
第4類危険物の中で最も危険
- 代表的な物品はジエチルエーテルと二硫化炭素
- 引火点と発火点は要確認
特殊引火物
危険物の中でも特に引火しやすい物質を『特殊引火物』という。
消防法では、第4類の危険物である引火性液体の中で、発火点が100℃以下、または引火点がー20℃以下で沸点が、40℃以下のものを指す。
これらの物質は、可燃性蒸気が空気と混合すると、火気、静電気、摩擦熱などによって引火、爆発を起こす危険がある。
ジエチルエーテルの引火点-45℃と、二硫化炭素の発火点90℃は第4類危険物の中で最も低い。
指定数量は、特殊引火物は50ℓとかなり少なめの設定になっている。
特殊引火物の物品ごとの特徴は下記の通り。
ジエチルエーテル | 二硫化炭素 | アセトアルデヒド | 酸化プロピレン | |
水溶性 | 少し溶ける | 溶けない | 溶ける | 溶ける |
形状 | 無色透明 | |||
蒸気臭気 | 刺激臭 | 不快臭 | 刺激臭 | エーテル臭 |
蒸気属性 | 麻酔性 | 有毒 | 有毒 | 有毒 |
液体比重 | 水より軽い | 水より重い | 水より軽い | 水より軽い |
蒸気比重 | 空気より重い | |||
引火点(℃) | -45 | -30以下 | -39 | -37 |
発火点 | 160 | 90 | 175 | 449 |
沸点 | 34.6 | 46 | 21 | 35 |
その他 | 燃焼範囲が広い揮発性が高い。日光にさらすと過酸化物が発生し、爆発の危険がある。 | 燃焼範囲が広い。燃焼により、有毒な亜硫酸ガスが発生する。 | 燃焼範囲が広い揮発性が高い。熱や光で分解すると、メタンと一酸化炭素になる。 | 揮発性が高い。 |
保管 | 密栓して冷暗所 | 密栓して冷暗所。容器に水を張る。容器を水没。 | 密栓して冷暗所。不活性ガスを入れる。 | 密栓して冷暗所。不活性ガスを入れる。 |
予防 | 換気。静電気をためない。冷却装置で沸点以下にする。 | 換気。静電気をためない。 | 換気。冷却装置で沸点以下にする。 | 換気。冷却装置で沸点以下にする。 |
消火 | 窒息(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末)。一般の泡消火剤を使う場合は大量に使う。 | 窒息(泡、二酸化炭素、粉末)。水噴射。表面に水を張って水封。 | 窒息(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)。水噴射。 | 窒息(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)。水噴射。 |
水に溶けるものは耐アルコール泡を使用する。
二硫化炭素は水に溶けず、水よりも重い。この性質を利用して、容器の中に二硫化炭素を入れたあと、水を張る。二硫化炭素は水の下に沈むので水の層によって可燃性蒸気が漏れるのを防ぐことができる。
まとめ
- 引火点:ー20℃以下
- 発火点:100℃以下
- 沸点:40以下
- 低い引火点・発火点:特殊引火物は、非常に低い温度で引火したり、自然発火したりする危険がある。
- 可燃性蒸気:常温で蒸発しやすく、可燃性蒸気を発生させる。
- 爆発の危険性:可燃性蒸気が空気と混合し、点火源があると爆破する可能性がある。
- 指定数量:50ℓ。第4類の中で最も低い。
『ジエチルエーテル』
引火点が-45℃で第4類危険物の中で最も低い。日本なら真冬でも引火する危険があるということ。水より軽い。
『二硫化炭素』
発火点が90℃で第4類危険物の中で最も低い。温めたときの発火する温度が最も早い。水より重い。
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