第6章 法令
㉑措置命令
重要ポイント
「措置命令」とは、消防法に基づき市町村長等が事業主などに対して「危険物の取り扱いや施設が法令に適合していないため、直ちに改善しなさい」と命じる指示のこと。
これに違反した場合は、施設の「許可の取り消し」や「使用停止命令」といった重い処分を下される可能性がある。
措置命令の概要
- 目的:危険物の安全管理上の不備を是正させ、災害発生を未然に防止するため。
 - 主体:危険物施設の所在地を管轄する市町村長等(都道府県知事など)。
 - 命令違反:製造所者等の所有者、管理者、占有者に対して、危険物の貯蔵や取扱いに関する危険を防止するための必要な措置を講じるように命令。
 
措置命令違反による罰則
命令に違反した場合、より重い罰則が科される可能性がある。
- 許可の取り消し:最も重い処分として、製造所等のの設備変更が取り消されることがある。
 - 使用停止命令:危険物施設の使用を一時的に停止するよう命じられる。
 - 罰則:消防法に基づく罰則(懲役または罰金)が適用される場合がある。
 
義務違反による措置命令
市町村長等は、製造所等が守るべき義務を怠ってた場合や、災害防止のため必要であると判断した場合、製造所等の所有者に対して措置命令を出すことができる。
法令上の義務違反に対する措置命令は下記の通り。
| 貯蔵・取扱いの基準尊守命令 | 危険物の貯蔵、取扱いが、法令の定める技術上の基準に従っていない場合 | 
| 危険物施設の基準適合命令 | 製造所等の位置、構造、設備が、法令の定める技術上の基準に従っていない場合 | 
| 危険物保安監督者等の解任命令 | 危険物保安監督者や危険物保安統括管理者が消防法令に違反したときや、適任ではないと判断されたとき | 
| 応急措置命令 | 危険物の流出等、事故が発生したにも関わらず、応急措置を施していない場合 | 
その他、下記のような措置命令もある。
| 予防規定の変更命令 | 火災予防のために必要な場合 | 
| 無許可貯蔵等の危険物に対する措置命令 | 製造所等の設置許可や仮貯蔵、仮取扱いの承認なく、指定数量以上の危険物を扱っている場合 | 
許可の取り消しと使用停止命令
市町村長等は、製造所等が施設に関することで違反した場合、許可の取り消しか使用停止命令を出すことができる。
また、人に関する違反をした場合、使用停止命令を出すことができる。
製造所等の許可の取り消しが行われると、その製造所等では危険物の貯蔵、取扱いはできなくなるが、使用停止命令は一定の期間が経てば使用を再開できる。
| 許可の取り消し、または使用停止 | 使用停止命令 | ||
| 無許可変更 | 無許可で製造所等の位置、構造、設備を変更した | 基準尊守命令違反 | 貯蔵、取扱いの基準尊守命令に違反した | 
| 完成検査前使用 | 完成検査や仮使用の承認なしで製造所等を使用した | 危険物保安統括管理者未選任等 | 選任すべき危険物保安統括管理者を選任しない。または、必要な業務をさせていない | 
| 基準適合命令違反 | 製造所等の修理、改造、移転命令に違反した | 危険物保安監督者未選任等 | 選任すべき危険物保安監督者を選任しない。または、必要な業務をさせていない | 
| 保安検査未実施 | 屋外タンク貯蔵所や移送取扱所が、受けるべき保安検査を受けない | 危険物保安監督者等の解任命令違反 | 危険物保安監督者、危険物保安統括管理者の解任命令に違反した | 
| 定期点検未実施等 | やるべき定期点検を実施しない、点検記録の作成、保存をしない | ||
上記以外にも、市町村長等は、下記のような必要に応じた命令を出すことができる。
| 緊急使用停止命令 | 緊急の安全、災害防止のために所有者等に対し、施設の一時停止または使用制限を命令する。 | 
| 資金提出命令・立入検査 | 火災防止のために、指定数量以上の危険物を扱っている施設や、事故が発生した施設の所有者等に対し、資料の提出や消防職員の立ち入り検査を命じることができる。 | 
| 移動タンク貯蔵所の停止 | 消防吏員または警察官は、火災防止のために必要であれば、走行中の移動タンクを停め、危険物取扱者に免状の提示をされることができる。 | 
まとめ
人に関わる違反による使用停止命令は4つ
- 基準尊守命令違反
 - 危険物保安統括管理者未選任等
 - 危険物保安監督者未選任等
 - 解任命令違反
 
施設に関わる違反による許可の取り消しまたは使用停止命令は5つ
- 無許可変更
 - 完成検査前使用
 - 基準適合命令違反
 - 保安検査未実施
 - 定期点検未実施
 
  
  
  
  
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