第2章 基礎的な化学
5⃣熱化学
重要ポイント
熱を発生する変化(発熱反応)による反応熱(発生す熱量)の種類と発生状況
反応熱
化学変化や溶解には熱の発生、もしくは吸収を伴います。熱を発生する変化を発熱反応といい、熱を放出することによってエネルギーの小さな物質に変化します。
逆に熱を吸収する変化を吸熱反応といい、熱を吸収することによってエネルギーの大きな物質に変化します。
また、このときに発生、または吸収する熱を反応熱といいます。単位はkj/molで表します。
燃焼熱
物質1molが完全燃焼したときに発生する熱量。(燃焼が不十分なことは不完全燃焼という)
生成熱
化合物1molが、成分元素の単体から生成するときに発生または吸収する熱量。
分解熱
化合物1molが、成分元素に分解するときに発生または吸収する熱量。
中和熱
酸と塩基の中和反応によって水1molを生成するときに発生する熱量。
溶解熱
物質1molを溶媒に溶かすときに発生または吸収する熱量。
※溶媒とは物質が、溶解するときの液体のこと。溶解するときの物質は溶質。
たとえば、水に砂糖を溶かす砂糖水は、水は溶媒、砂糖は溶質。
熱化学方程式
化学反応式に反応熱を加え、両辺を=で結べば熱化学方程式になる。
たとえば、1molの炭素Cが完全燃料(酸化)すると394kJ/molの燃焼熱が発生することを表す式は、
C+O₂=CO₂+394kJ
熱化学方程式を書くとき、、反応熱は右辺に書き、発熱反応は+、吸熱反応は-にする。
ヘスの法則
反応する物質と生成する物質が同じであれば、途中の過程には関係なく、反応熱は同じということをヘスの法則という。
たとえば、
炭素が二酸化炭素を生成する場合
①炭素を完全燃焼すると二酸化炭素を生成する。このときの燃焼熱は394kJ/molです。これを熱化学方程式で表すと、
C+O₂=CO₂+394kJ
②炭素が不完全燃焼して一酸化炭素を生成するとき生成熱は111kJ/molです。さらに、その一酸化炭素が完全燃焼して二酸化炭素を生成するときの燃焼熱は283kJ/molです。これを熱化学方程式で表すと、
C+1/2O₂=CO+111kJ
C+1/2O₂=CO₂+283kJ
二つの式を足すと、①の式と同じになる。
つまり、炭素が二酸化炭素を生成するとき、完全燃焼して一気に二酸化炭素を生成しようが、他の過程を経由して二酸化炭素を生成しようが、発生する熱量は同じだということになる。これをヘスの法則という。
ちなみに、炭素が完全燃焼して二酸化炭素を生成するときの反応熱は燃焼熱だが、炭素が不完全燃焼して一酸化炭素を生成するときの反応熱は生成熱です。
まとめ
発熱反応は(+)、吸熱反応は(-)
このときの熱を反応熱という。
- 燃焼熱・・・完全燃焼したときに発生する熱量
- 生成熱・・・生成するときに発生する熱量
- 分解熱・・・分解するときに発生する熱量
- 中和熱・・・中和反応によって発生する熱量
- 溶解熱・・・溶媒に溶かすときに発生する熱量
ヘスの法則
反応熱は、反応する物質と生成する物質が同じなら過程に関係なく同じになる。
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