第5章 危険物の性質
②第4類危険物
重要ポイント
- 第4類危険物の7つの分類
- 危険物の引火点、液の比重、蒸気の比重
- 取扱いと消火方法
第4類危険物の分類
第4類危険物は引火性液体。
引火性液体の中には常温(20℃)でも可燃性蒸気が発生して、点火源を与えると引火や爆発を起こす危険がある物がある。
・第4類危険物は引火点によって以下の7つに分けられている。
品名 | 引火点 | 主な物品 |
特殊引火物 | -20℃以下 | ジエチルエーテル、二硫化炭素 |
第1石油類 | 21℃未満 | ガソリン |
アルコール類 | 11℃~23℃程度 | エタノール |
第2石油類 | 21℃~70℃未満 | 灯油、軽油 |
第3石油類 | 70℃~200℃未満 | 重油 |
第4石油類 | 200℃~250℃未満 | ギヤー油、シリンダー油 |
動植物油類 | 250℃未満 | アマニ油 |
・物品ごとの引火点・発火点・比重
物品 | 引火点(℃) | 発火点(℃) | 比重 | |
特殊引火物 | ジエチルエーテル | ー45 | 160 | 0.7 |
二硫化炭素 | -30以下 | 90 | 1.3 | |
第1石油類 | ガソリン | -40以下 | 300 | 0.65 |
アルコール類 | エタノール | 13 | 363 | 0.8 |
第2石油類 | 灯油 | 40 | 220 | 0.8 |
軽油 | 45 | 220 | 0.85 | |
第3石油類 | 重油 | 60 | 250 | 0.9 |
第4石油類 | ギヤー油 | 220 | 0.9 | |
動植物油類 | アマニ油 | 222 | 343 | 0.93 |
引火点が低いということは、それだけ引火しやすく危険ということ。
第4類危険物の特徴
『引火性』
可燃性の蒸気を発生しやすく、火気、静電気、摩擦などによって容易に引火する。
『水に浮く』
多くの物質は水よりも軽く、水面に広がりやすいため燃焼面積が大きくなる危険がある。
『蒸気比重が重い』
可燃性蒸気の比重が1より大きいため、空気より重く、低い場所に留まる。床にくぼみがある場合、そこに可燃性蒸気がたまるので危険が高まる。
『静電気』
電気の不良導体が多いため、電気を通しにくく、静電気を発生しやすい。放電による引火の危険がある。
取扱い上の注意
『火気厳禁』
火気、静電気、摩擦どによる引火を防ぐため、火気の使用や静電気の発生源となるような行為を避ける。
『換気』
可燃性蒸気が滞留しないように、換気を十分に行う。
『漏洩対策』
漏洩した場合、速やかに適切な方法で回収し、拡散を防ぐ。
『保管対策』
指定数量に応じて、適切な保管(密栓、冷暗所など)をする。
消火方法
第4類危険物(引火性液体)の消火方法は、窒息消火と抑制消火が効果的。
水による消火は、引火性液体が水に浮いて火災を広げる可能性があるため、原則として避けるべき。
『窒息消火』
泡、二酸化炭素、ハロゲン化物、粉末、霧状の強化液など消火剤で、燃焼している物の表面を覆い、酸素の供給を遮断して消火する。
『抑制消火』
燃焼反応を阻害する物質(負触媒)を使い、燃焼速度を遅くしたり、反応を停止させたりして消火する。
第4類危険物の火災に適切な消火剤と消火方法は下記の通り。
消火剤 | 消火方法 |
強化液(霧状放射) | 抑制 |
泡消火剤 | 窒息 |
二酸化炭素 | 窒息 |
ハロゲン化物 | 抑制・窒息 |
粉末消火剤 | 抑制・窒息 |
いずれの消火方法も、油火災に対応できる。
まとめ
第4類危険物の取り扱い
- 火気厳禁:火はもちろんのこと、静電気にも注意
- 換気:低所に留まらないように換気、高所排出
- 漏洩対策:漏洩時は速やかに回収
- 保管対策:密栓、冷暗所
消火方法
- 窒息消火:泡・二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末
- 抑制消火:強化液(霧状放射)・ハロゲン化物・粉末
- 原則水は使わない
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