第6章 法令
③危険物取扱者制度
重要ポイント
- 免状種類別でできること、できないこと
 - 保安講習の講習時期
 - 役職の役割
 
危険物取扱者とは
危険物取扱者とは、消防法で定められた危険物を取り扱うために、都道府県知事から免状の交付を受けた者のこと。
危険物取扱者の種類と特徴:
- 甲種:全類の危険物を取り扱うことができ、定期点検や保安監督も行える。
 - 乙種:指定された類の危険物を取り扱うことができ、定期点検や保安監督も行える。
 - 丙種:第4類の危険物のうち、ガソリン、灯油、軽油など、一部の危険物のみ取り扱うことができる。
 
製造所等では危険物の取り扱いは、危険物取扱者自身(甲、乙、丙)が行うか、危険物取扱者(甲、乙のみ)が立ち会って危険物取扱者以外の人が行わなければならない。
危険物取扱者の免状種類によっての違いは下記の通り。
| 取扱い | 立ち会い | |
| 甲種 | 第1類~6類のすべての類の危険物 | すべての類の危険物 | 
| 乙種 | 免状を取得した類の危険物 | 免状を取得した類の危険物 | 
| 丙種 | 第4類の特定の危険物 | できない | 
丙種の取扱者は自分で作業できるが、資格のない人の立ち合いはできない。
危険物取扱者の免状について
危険物取扱者試験に合格し、免状を申請することで都道府県知事から交付される。
免状は、危険物を取り扱う業務を行う上で資格を証明するもので、特にタンクローリーで危険物を移送する際には携帯が義務付けられている。
免状の有効期限と更新:
- 危険物取扱者免状には有効期限があり、10年ごとに写真の書き換えが必要。
 - 氏名、本籍地の都道府県が変わった場合。
 
免状の記載事項に上記のような変更があった場合、すぐに免状の書き換えを申請しなければならない。
危険物取扱者の免状の手続きは下記と通り。
| 手続き | 申請先 | 
| 交付 | 受験した都道府県の知事 | 
| 書き換え | 免状を交付した都道府県の知事 居住地の都道府県の知事 勤務地の都道府県の知事  | 
| 再交付 | 免状を交付した都道府県の知事(失くした場合以外、免状を添えて申請する) 書き換えをした都道府県の知事  | 
| 失くした免状をみつけたとき | 再交付を受けた都道府県の知事に10日以内に提出 | 
危険物取扱者免状の返納命令:
- 返納命令とは?:消防法やその命令に違反した場合、免状を交付した都道府県知事が、危険物取扱者に対して免状の返納を命じることができる。
 - 返納命令を受けた場合:返納命令を受けた者は、速やかに免状を返納しなければならない。返納しない場合は、罰則が適用される可能性がある。
 
また、都道府県知事は下記の場合、免状の交付を行わないこともできる。
- 免状の返納を命じられてから1年が経過していない
 - 消防法に違反して罰金以上の刑を受け、その刑が終わってから2年が経過していない
 
講習の受講期間
危険物の取り扱い作業をしている危険物取扱者は、甲種、乙種、丙種問わず、一定の時期に保安講習を受けなければならない。
継続して危険物取扱作業に従事している場合:

危険物取扱作業に従事していなかった者が、新たに従事する場合:
(1)新たに従事する日から過去2年以上前に免状を交付又は講習を受けている場合
新たに従事する日から1年以内に受講が必要。

(2)新たに従事する日から過去2年以内に免状の交付又は講習を受けている場合
免状の交付又は前回の受講日以降にあける最初の4月1日から3年以内に受講が必要。

危険物取扱者の資格は持っているが、危険物取り扱い作業をしていない者や資格を持っていないが、立ち合ってもらって作業している者は保安講習を受けなくてよい。
危険物取取扱者の役職
危険物取扱者には役職があり、製造所等の所有者等が選任する。
危険物施設保安員:
- 危険物保安監督者の指示を受けて、施設の保安業務の補佐を行う。
 - 定期点検や保安管理。
 - 特別な資格は必要ないが、危険物取扱者資格を持っていることが望ましい。
 - 選任、解任に市町村長等への届出はいらない。
 
危険物保安監督者:
- 危険物の取り扱い作業の保安に関する監督をする。
 - 甲種、乙種の危険物取扱者ができる。
 - 6ヶ月以上の危険物取扱いの実務経験が必要。
 - 選任、解任には市町村長等への届出が必要。
 - 製造所、屋外タンク貯蔵所、給油取扱所、移送取扱所などは、指定数量にかかわらず常に選任が必要。
 
危険物保安統括管理者:
- 大量の第4類危険物を取り扱う事業所において、事業所全体の保安業務を統括的に管理する責任者。
 - 危険物取扱者の資格は必要ない。
 - 事業所全体の管理権限を持つ人物が選任される必要がある(社長や工場長)
 - 選任、解任には市町村長等への届出が必要。
 - 製造所、一般取扱所、移送取扱所には必要。
 
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)は基本的に運転手が一人で危険物取扱者として作業するため、危険物保安監督者は必要ない。
危険物保安統括管理者は、大規模な事業所に複数の製造所等がある場合、複数の製造所等をまとめるために選任される。
まとめ
危険物取扱者の種類別まとめ:
| 取扱い | 立ち会い | 保安監督者 | |
| 甲種 | 第1類~6類のすべての類の危険物 | すべての類の危険物 | できる | 
| 乙種 | 免状を取得した類の危険物 | 免状を取得した類の危険物 | できる | 
| 丙種 | 第4類の一部の危険物 | できない | できない | 
- 危険物取扱者以外の者は甲種、乙種の危険物取扱者の立ち合いがあれば作業できる。(丙種は立ち合いができない)
 - 危険物取り扱い作業をしている資格保有者は保安講習を受けなければならない。
 
| 資格 | 選任・解任の届出 | 必要な事業所 | |
| 危険物保安監督者 | 甲種または乙種の危険物取扱者の実務経験6カ月以上 | 市町村長等 | 製造所、屋外タンク貯蔵所、給油取扱所、移送取扱所 | 
| 危険物施設保安員 | 不要 | 不要 | 製造所、一般取扱所、移送取扱所 | 
| 危険物保安統括管理者 | 不要 | 市町村長等 | 
  
  
  
  
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