第6章 危険物に関する法令
⑮貯蔵と取扱いの基準
重要ポイント
設備修理時は、残存危険物は除去する
溜まっていく危険物は、あふれないように随時汲み上げる
原則、類を異にする危険物の貯蔵はできない
タンクの計量口、防油堤の水抜口は普段は閉鎖しておく
給油、注油時はエンジン停止
製造所等の共通基準
すべての製造所等に共通する貯蔵、取り扱いの基準を共通基準という。
主な共通基準は下記の通り。
・許可、届出され品名以外の危険物、指定数量の倍数を超える危険物の貯蔵、取り扱いはできない。
・安易に火気を使用したり、係員以外を出入りさせてはいけない。
・常に整理と清掃をし、不要物を置かない。
・貯留設備や油分離装置に溜まった危険物は、あふれないように、こまめに汲み上げる。
・危険物のくず等は1日に1回以上、性質に応じて処理する。
・建物や設備は、危険物の性質に応じて遮光や換気をする。
・危険物が残っている設備などを修理するときは、安全な場所で危険物を除去してから行う。
・危険物が保護液から露出しないように保存する。
製造所等の貯蔵の基準
製造所等で貯蔵するときの基準は下記の通り。
同時貯蔵の禁止 | ・危険物の貯蔵所では、危険物以外の貯蔵は原則禁止。例外として、屋内貯蔵と屋外貯蔵所では、一定の危険物と危険物以外の間隔を1m以上空ければ貯蔵できる。 ・類が違う危険物は、同じ貯蔵所での貯蔵は原則禁止。例外として、屋内貯蔵と屋外貯蔵所では、一定の危険物の間隔を1m以上空けて類ごとにまとめれば貯蔵できる。 |
屋内・屋外貯蔵所の基準 | ・危険物を容器に入れて貯蔵 ・危険物が入った容器を積み重ねる場合、3mを超えてはいけない。 ・屋内貯蔵所では、危険物の温度は55℃を超えてはいけない。 ・屋外貯蔵所では、危険物が入った容器を架台で貯蔵する場合、高さ6mを超えてはいけない。 |
タンク貯蔵所の基準(屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所) | ・計量口は、危険物を計量するとき以外閉鎖する。 ・元弁や注入口の弁は、危険物を出し入れするとき以外閉鎖する。 ・屋外貯蔵タンクでは、周囲に設ける防油堤の水抜口は、内部に油や水が溜まったときだけ排出するようにする。 |
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)の基準 | 立入検査に応じるため、完成検査済証、定期点検記録、譲渡・引渡しの届出書、品名・数量・指定数量の倍数の変更届出書を車両に備えておく。 ・危険物の類、品名、最大数量を表示する。 ・移動貯蔵タンクの底弁は、使用時以外は閉鎖する。 |
取扱いの基準
製造所等での取扱いの基準は下記の通り。
廃棄の技術上の基準 | ・危険物を海中、水中に流出させてはいけない。 ・焼却する場合、安全な場所で見張人をつける。 ・埋没する場合、危険物の性質に応じて安全な場所で行う。 |
給油取扱所の基準 | ・自動車等のエンジンを停止してから給油する。 ・固定給油設備を使って直接給油する。 ・自動車が給油空地からはみ出して給油してはいけない。 ・専用タンクや簡易タンクに危険物を入れる場合、固定給油設備や固定注油設備を使ってはいけない。 ・自動車を洗浄するとき、引火点を持つ液体洗浄剤を使ってはいけない。 |
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)の基準 | ・原則、移動貯蔵タンクから液体危険物を容器に詰め替えてはいけない。例外として、引火点40℃以上の第4類危険物に限り、手動開閉装置がついた注入ホースで、安全な注油速度で行えば詰め替えできる。 |
まとめ
貯留設備等に溜まった危険物はこまめに汲み上げる。
危険物のくず等は一日に一回以上廃棄する。
危険物を取り扱っている機械設備は安全な場所で危険物を取り除いてから修理する。
違う類の危険物同士は基本同じ製造所等で貯蔵できない。
タンクの軽量口や防波堤の水抜口は、普段は閉鎖しておく。
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