乙4ブログ 第1章 物理
⑦静電気
重要ポイント
静電気災害を防ぐための、静電気を発生及び蓄積させない方法
電流と電圧
『電流』とは、回路を通る電気の流れのこと。記号はI、単位はA(アンペア)。
『電圧』とは、回路に電流を流そうとするはたらきのこと。記号はE、単位はV(ボルト)。
電流は電圧に比例し、電圧が高いほど電流も大きくなる。
電流を流れにくくすることを抵抗(R)または『電気抵抗』という。単位にΩ(オーム)を使う。
抵抗の値は、電流が流れる導線の材質、断面積、長さによって決まり、電気抵抗が大きいほど電流は流れにくく、小さいほど流れやすい。
金属のように電気をよく通す物質を『導体』といい、電気を通さない物質を『不導体』、または『絶縁体』という。
不導体には、ゴム、合成樹脂、紙、木、などがある。
電流(I)、電圧(E)、抵抗(R)の関係は下記で表す。
電流(I)=電圧(E)÷抵抗(R)
上の式を『オームの法則』という。
オームの法則とは、電流は、電圧に比例し電気抵抗に反比例するという法則。
ジュールの法則
電気抵抗のある導体に電流をながしたときに発生する熱を『ジュール熱』という。
『ジュールの法則』とは、導線に電流を流したときに発生する熱量に関する法則。
発熱量(Q)=電圧(E)×電流(I)×時間(t)
で表す。
これにオームの法則を適用すると、
①Q=EIT(抵抗が一定)
- 抵抗が変化しない場合の発熱量は、電圧・電流のどちらにも比例する。
②Q=RI²t(電圧が一定)
- 電圧が変化しない場合の発熱量は、抵抗に比例し、電流の2乗に比例する。
③Q=(E²/R)t(電流が一定)
- 電流が変化しない場合の発熱量は、電圧の2乗に比例し、抵抗に反比例する。
暖房器具でなくてもほとんどの電気器具は発熱し、火災の危険がある。
静電気
乙種4類は引火性液体。この引火性液体を取り扱う上で火災の原因になり、特に注意しなければいけないのが『静電気』。
『静電気』は摩擦電気とも言われ、摩擦によって物質の一方が正電荷を帯び、もう一方が負電荷を帯びる。物質が電荷を帯びることを帯電という。物質に帯電した電気を『静電気』という。
摩擦以外にも帯電する状況がある。
- 接触帯電・・・2つの物質を接触させ、離すときに帯電する
- 流動帯電・・・液体が管内を流れるときに帯電する
- 沈降帯電・・・流体中を他の液体または個体が沈降するときに帯電する
- 破砕帯電・・・個体を砕くときに静電気が発生する
- 噴出帯電・・・液体が高速で噴き出すときに帯電する
- 誘導帯電・・・帯電した物体の近くの物体も、影響を受け帯電する
静電気が蓄積されると場合によっては放電し、そこに引火性の蒸気があれば、放電火花が点火源になって火災が発生する。
静電気の発生、蓄積を防ぐ予防法
『静電気の発生を少なくする方法』
- 摩擦を少なくする
- 接触する2つの物質を選択する(静電気は電気を通しにくい不導体の物質ほど発生しやすい)
- 導電性材料を使用する(電気を通しやすい物質でも、絶縁状態にして、電気の逃げ道をなくすと静電気が帯電する)
- 流速を遅くする(液体がパイプやホースなどの管内を流れるときに静電気が発生しやすい)
- 除電剤を使用する
『静電気の蓄積を防ぐ方法』
- 接地(アース):静電気が蓄積するものを導線で電気的に接続して流す。
- 湿度:室内の湿度を上げる(約75%以上に)と静電気は物体表面の水分を流れ、蓄積を防ぐ。
- 帯電防止服、帯電防止靴の着用。(電気を通しやすい服装)
まとめ
『オームの法則』
- 電流(I)=電圧(E)÷抵抗(R)
- 電流は、電圧に比例し電気抵抗に反比例
『ジュールの法則』
- 熱量は電流の2乗に比例:電流が2倍になると、発生する熱量は4倍になる
- 熱量は抵抗に比例:抵抗が大きいほど、熱量は大きくなる
- 熱量は時間に比例:流す時間が長ければ長いほど、熱量も大きくなる
発熱量が高いとそれだけ火災の危険が増す。
静電気が蓄積されると、放電火花により火災につながる恐れがある。
『静電気を防ぐ方法』
- 摩擦を極力減らす。
- 電気を通しやすい材質を使う(不導体はたまりやすい導体が良い)。
- ホース内の流速を遅くする(摩擦減)。
- 接地(アース)。
- 湿度を高くする。
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