第6章 危険物に関する法令
⑬消火設備と警報設備の基準
重要ポイント
消火の難易度は3つに分かれ、困難性により必要な消火器の種類が決まっている。
製造所等にどれくらいの消火能力が必要なのかを示す所要単位。
所要単位に対する消火設備の消火能力を示す能力単位。
5つの警報設備。
消火の難易度
消火設備は第1種から第5種に区分されている。
製造所等の大きさや扱う危険物、指定数量の倍数によって、製造所等は「著しく消火が困難」「消火が困難」「その他」の3つに分けられる。
3つの消火の困難性によって、設置すべき消火設備は異なる。
消火設備 | |||||
第1種 | 第2種 | 第3種 | 第4種 | 第5種 | |
著しく消火が困難な製造所等 | いずれか1つが必要 | 必要 | 必要 | ||
消火が困難な製造所等 | 不要 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
その他の製造所等 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 必要 |
上表の「その他の製造所等」には、地下タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、給油取扱所、販売取扱所は当てはまる。
また、地下タンク貯蔵所と移動タンク貯蔵所は製造所等の大きさや扱う危険物、指定数量の倍数に関わらず、消火設備が定められている。
地下タンク貯蔵所 | 第5種の消火器を2個以上 |
移動タンク貯蔵所 | 自動車用消火器のうち、3.5㎏以上の粉末消火器か、その他の消火器を2個以上。(ただし、アルキルアルミニウムなどを貯蔵か取り扱う場合、さらに150ℓ以上の乾燥砂を設置する) |
所要単位と能力単位
製造所等にどれくらいの消火能力を持った消火設備が必要かを判断する基準の単位を所要単位という。
また、所要単位に対する消火設備の消火能力を示す単位を能力単位という。
所要単位は下記の表によって計算される。
製造所等の構造、危険物 | 1カ所単位当たりの数値 | |
製造所 取扱所 | 外壁が耐火構造 | 延べ面積 100㎡ |
上以外 | 延べ面積 50㎡ | |
貯蔵所 | 外壁が耐火構造 | 延べ面積 150㎡ |
上以外 | 延べ面積 75㎡ | |
危険物 | 指定数量の10倍 |
貯蔵所(外壁が耐火構造、延べ面積300㎡)の場合、
所要単位は300㎡÷150㎡=2単位になる。
警報設備と避難設備
指定数量の10倍以上の危険物を貯蔵または取り扱う製造所等(移動タンク貯蔵所は除く)には、自動火災報知設備等を設置すなければならない。
警報設備は下記の5つある。
- 自動火災報知設備
- 警鐘
- 拡声装置
- 消防機関に通報できる電話
- 非常ベル装置
また、下記の条件に当てはまる給油取扱所では、「非常口」と表示した非常電源付きの電灯を出入口や通路に設ける必要がある。
- 建物の2階部分に店舗や飲食店がある場合
- 1方向だけ開放されている屋内給油取扱所で、敷地外に通じる避難口が設けられた事務所等がある場合
まとめ
製造所等の規模や危険物、指定数量の倍数によって、設置すべき消火設備は違う。
地下タンク貯蔵所と移動タンク貯蔵所は規模や危険物、指定数量の倍数に関わらず、消火設備が決まっている。
所要単位とは、製造所等にどれくらいの消火設備が必要かを表した単位。
能力単位とは、消火設備がどれくらいの消火能力を持っているかを表した単位。
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